スプリングバンク12年 カスクストレングス 2016年リリース
こんばんは!
私のお酒珍道中には、背筋がゾクゾクするような酒がいくつかありました。
しかしその多くは1970、80年代に流通していたもので、現行品はそれらに比べるとやはり一段劣ってしまう、そんな感じがあります。
しかも現行のウイスキーは値上がりの一途をたどっており、美味しいものは特に、おいそれと買えるものではなくなってしまいました。
そんな中、古き良き時代を思わせつつも、現行の良さも持ち合わせている(しかも安い)素晴らしいウイスキーを造る蒸溜所があります。
それがこちらスプリングバンク蒸溜所です。
これはそんなスプリングバンクの中でも年に一度の限定モデルで、2016年verは450本が日本に輸入されたそうなのですが、嘘つけよと思うほどに瞬殺でした。こちらは本当に偶然手に入れることができた一本です。
そして先日、友達が持ち寄ってくれた過年度リリースと飲み比べるために栓を開けましたが、驚きの完成度でした。
こちらが公式のコメントです。
個人的に、なぜこれを入れない!というものがあるので後述します。
さて、香りに書いてある「塩キャラメル」のコメントですが、実は味のほうが塩キャラメルを感じます。しかし、塩キャラメルって何でしょうか。要は、甘さの中にしょっぱさがあるということなのですがウイスキーとして想像しにくいものだと思います。
甘いってのは麦や樽由来のものだと理解できるのですがしょっぱいというのは何を由来とするのでしょうか。
実は答えはわかっていません。有力なのは潮風の影響という説です。
ウイスキーというのは樽に詰められてから何十年という歳月を同じ場所に保管されます。想像してみてください、数十年間、同じ場所にです。その膨大な月日の影響で、ほんの些細な貯蔵庫内の風の通り方、気温の差、湿度の差が1樽1樽に信じられないほど大きな変化を与えます。
それは海風も同じです。すぐそばに海があるような場所では海風がウイスキーに影響を与えるといわれています。
一見すると潮風説は説得力がありますが、反例も見つかっています。それゆえ確かなことは何もわからないというのが真の答えです。ですが、とにかくスプリングバンク蒸留所のウイスキーからはなぜか海のようなしょっぱさを感じます。そしてそれが、麦や樽の甘さと伴って塩キャラメルを感じさせるのです。
ウイスキーってやっぱ不思議ですね。そこも好きです。わけわからないとこがあるくらいがちょうどいいと思います。
さて、先ほど前置きした、私が声を大にして付け加えたいもの、それは「イチゴ」です。
「スプリングバンクといえばイチゴ」とはよく言われるのですが、近年私が飲んで来た中では飛び抜けて満足感のあるイチゴフレーバーでした。
イチゴぉ?と思われるかもしれませんが、イチゴ味のお菓子のようなケミカルで分かりやすいものではなく、あれとあれとあれの香りが合わさって、結果としてイチゴ、みたいな複雑なイチゴですので、みなさんが思われたイチゴとは違う可能性があります。
じゃあどんなイチゴなのかというと、イメージしやすいのはイチゴジャムとかですが、フローズンイチゴだと私は思います。
個人的には明らかにイチゴを感じるのですが、やはり感じ方に個人差があるのがウイスキーという酒です、このテイスターはイチゴと呼ぶにはまだまだ違うと感じたのでしょう。そういう違いを比べるのもウイスキーの楽しみ方の一つですね。
そのように香味が複雑に絡み合ったイチゴのフレーバーが口を楽しませてくれた後に、このウイスキーはなんと麦の旨味までお届けしてくれます。
多少の苦みはありますが、麦のうまみが舌にしみわたっていき、ため息の一つでも付きたくなるような滋味深さを感じさせてくれます。
そして飲んだ後にはオレンジマーマレードのような、酸味と甘みと苦みが絡み合った美しい余韻がゆったりと、長く・・・
なんとおいしいウイスキーでしょうか。惜しむらくは手に入らないことですね!ぜひバーで、スプリングバンクの2016年のカスクストレングス!と注文してみてください。
ちなみに、カスクストレングスとは「樽出しの」という意味で、普通のやつよりも度数が高いやつだと思ってください。気になる人はグーグルグーグルゥ!
慣れてる人はカスクストレングスのことをカスクと省略するので注意してください。なお通ぶりたい、なめられたくないという方は「バンク、2016のカスクのやつあります?」って聞くとエゴを満たせるのでお勧めです。(スプリングバンクも慣れてる人はバンクと呼びます。)
値段は一本6,000~8,000でしたので一杯1,200が適正価格ですかね。銀座でさえ飲まなきゃそんなもんです。
さて、本日はスプリングバンクのご紹介でした。
思えば、スプリングバンクは90年代よりも00年代のほうが美味しいものが多い印象があります。これは本当にうれしく、ありがたいことです。
私のような90年代中盤に生まれた人たちは正直、ウイスキーに関して様々な点で不遇です。しかし21世紀の今、こういった素晴らしいウイスキーが続々と世に出ています。これ程うれしく、ワクワクすることはありません。私たち不遇の世代が目を向けるべきなのは、過去の栄光ではなく、これからの輝かしい未来で待っているものなのだと思います。
ご拝読ありがとうございました。